我々、スポーツキャリアサポートコンソーシアムは、スポーツ庁の委託事業として、協働と共益の理念の下、民間企業も含め、産学官連携で運営しています。
アスリートの引退後のキャリアが社会問題化したのは、今から25年くらい前からになります。バブル崩壊以前は、アスリートは企業に勤めながらスポーツで活躍し、引退後もその企業に残って企業にも貢献してきました。しかしバブルはじけると企業の業績は悪化し、社員は削減され、企業で活動するアスリートの引退後の居場所がなくなってしまいました。またアスリートと会社の関係が、正規雇用から非正規雇用へと変化しています。
こうした社会の変化によって、引退後のキャリア形成に苦労するアスリートが増えることは、アスリート本人のみならず、スポーツにとっても不幸なことです。スポーツを続けると不幸になるというのでは、競技を突きつめようとする人が減ってしまいます。またスポーツの価値が失われると、スポーツを支える多くの人々や企業も離れてしまいます。
スポーツの価値は、スポーツに関わる人、皆で守っていくべきものです。
これまでもスポーツ界では、個別の組織やチームが積極的にアスリートのセカンドキャリアをサポートしてきました。しかしながらチームやリーグ、競技団体が単独で引退後のアスリートをサポートすることには限界があります。
多くのアスリートは、先輩や友人、家族のみなさん、さらに今日では民間企業の皆さんにサポートいただいています。こうしたボランティアでのサポートには良い面があるものの、今後はしっかりと仕組化し、アスリートを支えることが仕事になるような仕組みづくりがコンソーシアムの役割と考えています。
現役、そして引退後のアスリートのキャリアをサポートする仕組みができることで、アスリートには幸せな人生を送ってもらいたいと願っています。そして結果的に、スポーツの価値を向上させていきたいと願っています。
スポーツキャリアサポートコンソーシアム会長
髙橋義雄